1-2

取り込むだけで158時間かかる。

古いレコードやカセットをデジタル化する方法については、定期的にパソコン雑誌などで特集されていて、いずれやらなければと考えている人は多いだろう。ただ、ぼくの場合は数ページの記事を読んでさっと取りかかれるような、お気楽な状況でなかった。

単に音源をパソコンに取り込むだけで158時間かかるわけで、これを1曲ずつ分割してファイル名を付けてMP3に変換しなくてはならない。根が几帳面なだけに正確な曲名や歌手名を調べ直したいし、MP3タグの編集だって必要だ。楽曲は全部で2,348曲あった。

とにかく最初によほど深く考えてから始めないと、あとでどんな痛い目に遭うかわからない。特にハードの面で当時のカセットデッキを処分してしまったので、ノイズリダクションという予想もしなかった問題があった。そう、新品のdbx付きカセットデッキなんて、もうどこにも売っていない。

昨年の夏、事務所の引っ越しを期に以前から興味のあった断捨離を行った。自分で録ったカセットテープやDATはほとんど捨てられなかったが(ぜんぜん断捨離になっていない)、更にスッキリしたいという欲望が日に日に高まって、ついに長年の夢であったカセットテープの自炊デジタル化に取り組むことができた。


およそ半年近く、コツコツと気の遠くなる作業だったが、次々と起こる問題を解決しながら先に進むのは、さながらRPGのようで意外に楽しかった。とにかく一筋縄ではいかなかったので、自分メモとしてなるべく細かく書き留めておこうと思った。

あくまでも「私はこんなに大変な思いをしましたが、なんとかやり遂げることができました」という、苦労話のねちっこい文章になりそうなので、くれぐれもハードやソフトのマニュアル的なものを期待されないように。ただ、カセットテープやレコードのデジタル化を長年やらなきゃと思いつつ、勇気を出せずに踏み出せなかった方々の背中を、ちょこっと押す程度の役割なら果たせるかもしれない。

前のページ << | 1 | 2 | >> 次のページ