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dbxノイズリダクションユニット

カセットテープにはサーっというヒスノイズがあり、当時これを少しでも減らすため様々な努力がなされた。クロームポジションのテープを使うのも有効だったが、どうもEQで高域をカットしているだけな気がして好きになれなかった。ドルビーBも同様に音がこもるだけな感じがして、音にこだわるようになってからは使わなくなった。

ノイズリダクションをかけると音が変わる、なんてオーディオ雑誌(サウンドレコパルとかを愛読していた)に繰り返し書かれていたものだ。素直な10代だったので、書いてあることはすべて信じてしまう。そこでもっぱらダイナミックレンジの広いテープを買って、歪むギリギリまで録音レベルを持ち上げるという、やたら緊張感のある手法でヒスノイズ対策をしていた。

そんな中、dbxという効果の高いノイズリダクションが登場する。いま考えれば互換性に大きな問題があったのだが、カセットデッキがテクニクスのRS-B90に替わった82本目のテープから使用を開始する。つまり今回デジタル化を進めるカセットテープの半数は、dbxがかかっているということになる。これは致命的な問題だった。このままではまともに再生ができない。

最初はパソコンのソフトでエミュレートできるんじゃないかと、ネットで必死に探したが見つからない。ノイズリダクション効果が大きいだけに、ドルビーBのようにEQでなんとか補正できるようなレベルではないのだ。中古のデッキはほとんど売ってないし、オークションではノークレームのジャンク品扱いばかり。本当に頭を抱えた。

困り果てて知り合いに相談すると「外付けのdbxユニット買えばいいんじゃないの」と、しごく当たり前の答えが帰ってきた。そ、そうだった。これならモーターなどの駆動部分がないので、中古でも不都合が起こる確率が低い。新品のカセットデッキと中古の外付けユニット、確かにこの組み合わせが現在のところベストの選択だった。


しかしこんな超マイナーな機械、インターネットがなかったら秋葉原中探したって見つかったかどうか怪しいものである。それがネットの中古オーディオ専門店で、テクニクスのRP-9022が14,800円で売っていた。しかもオーバーホール済みで3ヶ月の保証付き。外見はあんまりきれいじゃなかったけど、ずっと使うわけじゃないので気にしないことにしよう。

さあ、これで「70・80年代にFMエアチェックでカセットテープに録音した、貴重なアイドル歌謡曲2,348曲を自炊デジタル化する」ためのハードとソフトはすべて揃った。いよいよ実践的な話が始まるかと思えば、そうでもなかったりする。

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